クォーツリードと日本大学理工学部、国内最大の石英製高温プラズマ閉じ込め容器の共同開発を開始
~二酸化炭素や高レベル放射性廃棄物を排出しない、次世代クリーンエネルギーの実現へ~
大日本スクリーン製造株式会社が100%出資するグループ企業、株式会社クォーツリード(本社:福島県郡山市/社長:千葉 喜三)と日本大学理工学部理工学研究所(本部:東京都千代田区/所長:安田邦男)はこのほど、二酸化炭素や高レベル放射性廃棄物を排出しない次世代のクリーンエネルギーとして期待される、核融合発電に関する共同開発を開始しました。
核融合発電は、水素やヘリウムなどを燃料とする核融合反応を利用したもので、ポリタンク1本分の海水から250本分の石油に相当するエネルギーが得られるほか、温室効果ガスである二酸化炭素や核分裂反応による高レベル放射性廃棄物を出さないため、安全でクリーンなエネルギーとして大きな期待を集めています。しかし、超高温のプラズマを閉じ込める大型核融合炉の実現には今なお課題が多く、実用化に向けた研究が世界各国で進められています。
このようなエネルギーを取り巻く動向を受け、クォーツリードと日本大学理工学部は、高温のプラズマを閉じ込める炉心の大型化に関する共同開発を2011年11月に開始。クォーツリードが長年培ってきた石英ガラス(クォーツ)加工のノウハウを最大限に活用し、磁場の影響を受けず、また機械的強度や耐熱性などに優れた大口径の石英製真空容器の製造を可能にしました。これまで日本大学理工学部では、原理的に閉じ込め効率が最も良いとされる磁場反転配位(FRC)方式※の研究を進めていましたが、高周波磁場を利用することから真空容器に金属が使えないため、装置設計などにおいて制限がありました。しかし、今回開発した大口径の石英製真空容器により、国内最大規模のプラズマ閉じ込め容器を持つFRC実験装置が実現したため、この新たな装置を活用し、核融合発電の効率化に向けた実験をより一層推進することが可能になりました。
クォーツリードと日本大学理工学部は今回開始した共同開発を通して、クリーンで安全なエネルギー源として期待の高まる核融合発電における、新たな技術の確立を目指します。そして今後も、未来技術の実用化に向けた研究開発を推進していきます。
※ 磁場反転配位(FRC)方式
核融合炉心への利用が期待される、超高温のプラズマを磁場で閉じ込める方法の一つ。原理的に最も効率の良い方式とされ、逆磁場シータピンチ法などによって生成される。FRCは、Field-Reversed Configurationの略。
株式会社クォーツリード 代表取締役社長
千葉 喜三のコメント
このたび、日本大学理工学部専任講師の浅井先生からFRC炉心の共同研究の打診を受け、クォーツリードにとって未知への挑戦の第一歩を踏み出しました。大口径の石英容器の開発・製造は、当社の主要事業の一つであります。「私たちはユーザーの希望・期待する製品づくりにチャレンジします。」というスローガンの下、最良の製品をお届けしたいと思います。今後のクリーンエネルギーへの展開を考えた場合、非常に意義のある研究であり、このような機会を与えていただいたことに感謝します。
日本大学 理工学部物理学科 専任講師
浅井 朋彦のコメント
FRC方式は、シンプルで高効率な核融合炉心となる可能性を持つ一方、安定性の制御やプラズマ閉じ込め性能の改善などの課題が残されています。この研究によって、FRC炉心の実現に貢献できる成果を得られることを期待しています。
クォーツリードと日本大学理工学部、国内最大の石英製高温プラズマ閉じ込め容器の共同開発を開始~二酸化炭素や高レベル放射性廃棄物を排出しない、次世代クリーンエネルギーの実現へ~(PDF:449KB)
●本件についてのお問い合わせ先
株式会社クオーツリード いわき工場(担当:小林)
Tel: 0246-64-8820 Fax: 0246-64-8821 URL: www.screen-qt.co.jp
日本大学理工学部物理学科 核融合研究室
Tel: 03-3259-0894 Fax: 03-3293-8269 URL: www.cst.nihon-u.ac.jp